校長メッセージ 2026.05.08

校長メッセージ 避難訓練

先月20日(月)は北高の開校記念日でした。ちょうどこの日の夕方、16時52分に三陸沖を震源とするマグニチュード7.7の地震が発生しました。気象庁によると、この地震の発生により、北海道の根室沖から東北地方の三陸沖にかけて、新たな大規模地震の発生可能性が相対的に高まっていることから、「後発地震注意情報」が発令されました。これは、大きな地震の後では、さらに大きな地震が起こる可能性があるということだそうです。

その後1週間で注意情報は解除されましたが、大きな地震が起こった後に巨大地震が発生した例は、過去にいくつかあります。2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震がそうです。この時はマグニチュード7.3の地震が発生した2日後に、マグニチュード9.0の地震が発生しました。東日本大震災の原因となった大地震です。

皆さんは、この大地震が起こった直後の「釜石の奇跡」という実話を聞いたことがありますか? 小中学生たちが巨大津波から逃げおおせた話です。

岩手県の三陸海岸に近い釜石東中学校の生徒たちは、地震がおさまるとすぐに避難所へ走りました。先生方が「逃げろ」と指示しなくても、率先して避難するように訓練を重ねていたからです。避難所の所在地は、避難訓練で全生徒が知っていました。

近くの鵜住居(うのすまい)小学校では、児童を校舎3階に避難させようとしましたが、「津波が来るぞ!逃げろ!」と叫びながら走っていく中学生らを見て、先生方も小学生も校舎を出て、一斉に高台へ走り出しました。小中学生たちは、目指していた避難所に到着しましたが、余りの揺れの大きさから、そこも危険だと考えた中学生たちが、自らもっと高台への移動を提案し、さらに遠く離れた高台へ、小学生の手を引きながら避難しました。

この直後、津波が到達し、鉄筋3階建ての鵜住居小学校と4階建ての釜石東中学校は水没、全壊し、最初の避難所も水没しました。しかし、さらに遠く高く逃げていた小中学生は、全員が命拾いをしました。

防災意識の高い中学生の冷静な状況判断が、多くの命を間一髪で救ったこの行動は、当時群馬大学の片田(かただ)教授(現東京大学大学院教授)の指導の下で、8年間、万一の時のために欠かさなかった避難訓練に、小学生の頃から真面目に取り組んでいた生徒たちだったからこそできたものだと言われています。これが「釜石の奇跡」です。

このことから皆さんに学んでもらいたいことは、次の3つです。

 

1 本番では頑張るので、練習は適当でも大丈夫、そう思っている人はいますか?

練習でできないことが、本番でできると思いますか? できるはずがない。

避難訓練でできないことは、実際の災害時にできるわけがない。

 

2 火災報知器の非常ベルが鳴っても、すぐに人は逃げない。

また誤作動かな? 今日は訓練だっけ? 前は大丈夫だった、自分は大丈夫、自分だけ逃げるのはカッコ悪いし恥ずかしい、といった様々な理由で逃げない。

そういう雰囲気を断ち切り、あなた自身が勇気を持って逃げ始めること。

間違いであっても「逃げろ!」と言って逃げることが、大勢の命を救うことになる。

 

3 釜石東中学校の生徒たちは、自分の命を自分で守るための行動を取りながら、小さな小学生の手を離さず逃げました。

この学校のある奈良町にも、小さな子どもやお年寄りがたくさん暮らしていますが、平日の昼間など、仕事をしている大人などは、ほとんど家にいません。

そんな中にあって、高校生の皆さんはとても大きな力になることができる。

まず自分の命を守った後で、近隣の小さな子どもやお年寄りに手を差し伸べて欲しい。

その命を守れる存在でいて欲しい。私は皆さんにそういう期待をします。

 

そういう事態にならないことを祈りますが、残念ながら、いつか必ず起こることです。

そしてその「いつか」は10分後かも知れない。その時の皆さんの行動に期待します。

一覧に戻る