SSH 2025.09.30

SSH特別講演会で、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢教授をお招きしました

2025年9月19日(金)、さいたま市立大宮北高等学校ではSSH特別講演会が開催され、全校生徒を対象に筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授をお招きしました。「睡眠の謎に挑む ~健やかな睡眠から始まるウェルネス~」という演題のもと、人生の約3分の1を占める睡眠について、最先端の研究成果や日常生活に役立つ知見が数多く語られました。

講演の冒頭では、日本が世界一寝不足の国であるという現状に触れ、特に高校生には1日8.5時間の睡眠が必要であることが強調されました。睡眠不足は心身にさまざまな悪影響を及ぼし、健康や学業成績だけでなく、社会全体の生産性にも関わる重要な課題であることが説明されました。また、睡眠時間の長い企業ほど利益率が高いというデータも取り上げられ、質の高い睡眠が個人だけでなく組織や社会全体のパフォーマンス向上につながることが明らかにされました。講演では、「なぜすべての動物が眠るのか」「そもそも『眠気』の正体とは?」といった根本的な問いに対し、睡眠の機能や調整メカニズムがいまだ完全には解明されていない現状を、さまざまな論文や研究事例を交えて分かりやすく解説していただきました。さらに、ウェアラブル脳波計やAI技術を活用した「睡眠の可視化」など、最新の取り組みについても紹介され、質の高い睡眠を得るためには、寝室の環境を整えることが重要であると述べられました。具体的には、寝室は光を暗く、音は静かに、温度は朝まで一定の適温を保ち、換気によって二酸化炭素濃度を下げることが推奨されました。

質疑応答では「ショートスリーパーは本当に存在するのか」「高校生の理想的な1日の生活リズムは」など、生徒からの質問にも丁寧に答えていただき、科学的な視点から睡眠を考える貴重な機会となりました。

今回の講演を通じて、生徒たちは睡眠の重要性や科学の面白さを実感し、自分自身の生活リズムを見直すきっかけを得ることができました。柳沢教授には心より感謝申し上げます。

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